布絵を始めたのは、30年以上前、姉から贈られてきた一冊の絵本『キッチンの窓から』がきっかけでした。豊かな文章と美しい色彩の絵で綴られた北欧の“季節とともにある暮らし”は、季節を感じながら丁寧に暮らしていくことの大切さを教えてくれるものでした。その1シーンを手元にあった端切れで描いたのが、私の布絵の始まりです。
布絵は、四季折々の風物を、色や質感の異なる布を組み合わせて貼付け、刺繍などを加えて描いていきますが、その過程には、布の組み合わせを生み出す思い掛けない展開があり、心沸き立つ瞬間があります。それは、“布という絵の具”の温もりと可能性に包まれる幸せな瞬間でもあります。季節の移ろいに合せて飾る布絵は、暮らしに心地よいリズムとうるおいをもたらしてくれる様な気がします。
リブアートでの14年ぶりの個展、今回は季節の風物を具象的に描いた布絵に加え、ポジャギスタイルの間仕切りやパネルなど、具象と抽象の溶け合う楽しい展になればと思っています。
布と糸で綴る35年の軌跡をご覧下さい。
【出品作品】布絵額・布絵タペストリー・ポジャギスクリーン・ミニパネル・バッグ・クッション・パッチワークキルト・小物いろいろ